活動風景

2006.4.29-30 最も原始的な炭焼き法「穴焼き」「伏せ焼き」の実践

29日は曇り空で、夕方から雨が降り始めましたが、早めに点火・着火することができたため、無事炭焼きは終了しました。30日は綺麗に晴れ渡りました。たくさんの炭を得ることが出来、大成功に終わりました。

炭焼き会場となるヤマナラシ広場は一面のタンポポ畑となりました。
一日目の午前10時。鶴見先生のご指導の下、炭焼きの穴を掘る位置を決めます。風の流れなどを考慮し、一番奥の位置に穴を掘ることにしました。
伏せ焼きの穴を掘り始めます。炭材の長さ60cmにあわせて、幅90cm×高さ30cm×長さ250cmの穴を掘ります。向きは、風が入りやすい方向にします。今回は勾配でどのような結果になるか実験を行うため、左側の穴を下り勾配、右側の穴を上り勾配としました。一般的に上り勾配は燃えやすく、下り勾配は燃えにくく均等な炭の焼け具合になると言われています。
縦に太めの敷き木を並べその上に3段に炭材を並べます。炭材は50cmが最適といわれていますが、今回は60cmにしました。両脇は15cmを確保します。
1段目は細め、2段目は太め、3段目は細めを並べます。また、窯口付近は燃えやすいため、太目の炭材とします。
窯口には6個のブロックを用いました。奥には煙突を立てておきます。
保温材として落ち葉を20cm被せます。両脇は程ほどの硬さに落ち葉を詰めます。
中央部にトタンを被せます。焼けるに従い炭材は減って行くため、トタンの幅は穴より狭いものを用います。燃えなければ良いので、トタンの代わりに草でも良いそうです。
その上に土を20cm被せて、窯の出来上がりです。
窯口で焚き火をし、うちわで熱を送り込みます。火が中のほうに入らないようにするため、焚き火は窯口より15cm以内に抑えます。
熱を送り込み、煙突からの煙と温度で着火を判断します。
炭材に着火するまでひたすら1〜2時間うちわで扇ぎ続けます。上り勾配は1時間ほどで着火しましたが、下り勾配は2時間ほどかかりました。勾配による差がここで大きく出ました。
着火の様子です。左の下り勾配は煙の温度が60度ぐらいで色が青みがかっておりまだ着火していません。右の上り勾配は煙の温度が80度以上に達しており、扇がなくても多量の白い煙が発生しているため、すでに着火しています。
着火したら、入口をふさぎ、ブロックの穴1個分を除き全て土で塞ぎます。穴が大きすぎると炭材が燃えてしまいます。
右側の着火した上り勾配の窯は、穴を塞いだところ煙の勢いが衰えてしまったため、一度窯口を開いて火を焚きなおした後、再度塞ぎました。
木酢液採取装置です。煙突から出る煙の上に竹筒を被せ、バケツで木酢液を集めます。木酢液は酸性のため、金属を用いるのは好ましくありません。
後は、ひたすら完成を待つのみです。
一方、穴焼きでは深さ120cmの穴を掘り、その中で炭を作ります。今回は子供達だけで穴を掘り終えました。よく頑張りました。
落ち葉を敷き詰め、枝を入れて火を焚きます。
その後、ひたすら炭材を入れていきます。下のほうの炭材は灰になってしまいます。
ひたすら炭材を入れていきます。上のほうの炭材は生焼けになりますので、炭は期待できません。残っていた太い炭材を乗せ、穴を埋め尽くしました。
トタンを被せ、土を乗せて、空気が入らないようにして炭を作ります。穴に立ててある木の隙間のみ空気が入ります。
後は完成を待ちます。
伏せ焼きは、煙突から出る煙が350度を超えればできあがりです。マッチを煙突にかざし、3秒以内に火がつけば、その印です。
最後に窯口を開け、「ねらし」を5分ほど行います。写真は、その時の窯口の様子です。
ねらし後、窯口・煙突両方を完全に塞ぎ消火します。
上り勾配の消火は着火後5時間ほど、下り勾配の消火は着火後7時間ほどでした。
穴焼きのほうも、同様に穴を完全に塞いで消火します。
一日目はこれで終了です。
2日目午前10時。伏せ焼きの窯を開きます。
この写真は下り勾配の炭の様子です。比較的全体的に綺麗に炭が出来ています。炭材が少し長めであったため、両端が炭化しきれずに残っていました。
下り勾配の炭の量は上り勾配より多く取れました。
上り勾配の炭の様子です。窯口付近の炭材は完全に灰になっていました。比較的燃えすぎる傾向が現れていましたが、煙突に近い炭材はそれなりにできていました。炭の量は下り勾配より少なめでした。

結論としては、窯は水平が最も適していると思われます。
穴焼きで取れた炭です。多量の炭材を入れたにもかかわらず、伏せ焼きより手間がかからない分、取れた炭の量はかなり少ないです。
マツボックリを缶に入れて火を焚き、鑑賞炭も作ってみました。美しく出来ました。

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